2016/06/10

16年春闘 賃上げなしは許されない

 政府が経済界に賃上げを要請する「官製春闘」が続いています。

 昨年は、地銀にも20年ぶりにベア引き上げ回答がありましたが、「利ざやが稼げず、先行き不透明」などの理由で、ベア引き上げに至らないところも少なくありませんでした。

 日銀が異次元金融緩和政策を実施してから3年経過しました。また、今年1月には「マイナス金利政策」導入を決定しました。その後の経過は「マイナス金利政策」に期待されたもう一つの側面である円安・株高効果は空振りに終わりました。日銀は物価下落が持続する「デフレ」の原因を貨幣供給不足という政策的要因に求めました。しかし、「デフレ」の真因は賃金の低下と家計の可処分所得の減少という実体経済の問題があります。

 16春闘では、「賃上げしないと日本経済自体がダメになる」春闘と位置づけて「物価上昇等による暮らしの悪化分と賃金の底上げ分」とで、ベースアップ2万円の実現と正社員と非正規雇用の格差を是正し均等待遇のためにすべての労働者の賃上げを目指して、職場改善などの諸要求に取り組みました。

 金融機関では、昨年度より預金保険料率が0.042%軽減され、法人税の減税もあり、負担軽減分だけでも十分に賃上げ原資はあります。五大銀行グループは2兆6千億円の巨額の純利益を稼いでいますが、本格的な日本経済復興には貢献しようとする姿勢を見せず、日銀のマイナス金利政策導入による貸し出しの利ざやが縮小し収益悪化が予想されることから、将来のために収益を貯め込んでいます。労働者の実質賃金が5年連続して減少しているのに、組合要求から掛け離れた「賃上げゼロ回答」をしてきました。

 非正規労働者の賃金引き上げには、最低賃金の引き上げが重要になっています。金融機関の職場は今、非正規労働者がいないと業務運営ができない状況にあります。均等待遇と格差是正のためには「まず非正規から引き上げをする」という誠意を見せることが必要ではないでしょうか。

 政府は最低賃金の時給1000円への引き上げを2020年ごろまでにと先送りしています。「人間らしい生活のためには本来時給1500円程度は必要」です。


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