2019/01/01

金融ユニオン 黒田 清美 中央執行委員長 年頭のご挨拶

 新年をつつがなくお迎えされたことと存じます。

 昨年末、恒例の今年を表す漢字一文字が「災」であったことに象徴されるように、全国各地で大雪、地震、集中豪雨、猛暑、台風にみまわれました。被災された方々には心よりお見舞いを申し上げます。自然の驚異には、我々は無力であると感じるとともに、少しでも災害を逃れる方法、対処できる方法はないものかと考えさせられました。

 日本のスポーツ界では、様々な不祥事やパワハラが問題になりました。また、中央省庁では障がい者雇用率の水増し発覚や東京医大入試に関しての女性差別、国会議員のLGBT差別発言などは、これが本当にオリンピック、パラリンピックを開催しようとしている国なのかと考えざるを得ませんでした。

 明るい話題としては、藤井棋士が史上最年少で七段昇段・100勝を達成する快挙や、高校野球では公立高校の金足農業旋風が記憶に残ります。卓球の世界でも10代の選手の活躍が目立ちました。

 私たちの働く銀行では、地銀の優等生とされてきたスルガ銀行で、「シェアハウス問題」が明るみとなり、不動産融資をめぐる与信書類の改ざん、データのねつ造が社会問題になりました。その陰には、職場内での異常なパワハラがありました。単にスルガ銀行一行にとどまらず、収益至上主義はどこの企業にもはびこっているのではないでしょうか。

 今、銀行の在り方が大きく変化しようとしています。私たちは襟を正し、顧客のため、社会のためになる役立つ仕事をしたいという思いに立ち返り、行動することが重要です。

 女性活躍推進が叫ばれて久しいのですが、女性の役席への昇進・昇格や役員登用問題も課題です。非正規雇用の約6割が女性であるという実態から、格差是正を要求してきました。「同一労働同一賃金」を求めて、みずほ銀行では非正規職員の退職金が2020年を目途に開始されることになり、三菱UFJ銀行では正職員と同等の慶弔休暇、介護、育児休暇など成果が見えています。産別組合の利点を生かし、情報を共有・交流しながら要求にしていきましょう。

 4月から施行される「高度プロフェッショナル制度」を含む「働き方改革一括法」については、職場に導入させない取り組みが必要です。諸先輩方が長年をかけて勝ち取ってきた「8時間労働制」を壊して、家庭生活を破壊させてはなりません。人間らしく働くことができるルールの確立が必要です。

 政府・財界の思うままに「アベノミクス」は広がり、私たちの暮らしを脅かしています。経営者は将来に不安があるとして労働者を犠牲にして、史上最高の内部留保を積み上げています。この春闘では、生活できる賃金の確保をめざし、大幅な賃上げと諸要求の前進を勝ち取りましょう。

 私たちは、雇用を守り、労働条件の改善、人間らしい暮らしと平和のために地域の仲間や労働組合との共同や、様々な分野で活躍する人たちとも連携し、新しい仲間を迎えながら運動していくことが大切です。仲間の輪を大きく広げ、ひとり一人が自覚して行動することが求められています。

 健康で働き続けられる職場をめざし、今年も元気にがんばりましょう。本年もよろしくお願い申し上げます。


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