「武生信金不当解雇撤回裁判 許し難い不当判決」 金融労連 全国金融産業労働組合

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武生信金不当解雇撤回裁判 許し難い不当判決

旧武生信金経営者による大口の不正融資を公益通報しようと、役員の社内メールにアクセスし、情報収集した組合役員2人を懲戒解雇したことに対し、解雇無効と地位確認を求めて提訴していた裁判の判決が、3月30日、福井地裁で行われ、「原告の請求を全て棄却する」という、信じられないような不当判決が出されました。

原告は、即日控訴し、翌31日には、金融労連と県労連の代表が、合併により旧武生信金の争議を引き継いだ福井信金に対し、一日も早い争議の自主解決を要請しました。

判決は、二人の行為を「公益通報」と認めず、金庫が主張する「興味本位」でのアクセスで、あたかも雑誌「北陸政界」に情報提供した犯人であるかのような、悪意に満ちた筋立てで「懲戒解雇を有効」としています。

公益通報を実質上不可能に

判決後に行われた報告集会では、弁護団は、

「今回の不正融資については全く触れられておらず、どういった事情でアクセスしたのかも考慮していない。特に裁判所が『仮に公益通報が目的であったとしても重大な非違行為だとしている』点は、公益通報一般に対する抑止につながる判決で、公益通報の趣旨を全く理解しておらず、これがまかり通れば、誰も公益通報などできなくなってしまう。社会の要請に逆行する不当判決だ」

「この裁判を通じて記者会見し、信金内部の不正が明らかになって、信金自体も不正融資を認めて役員交代、福井信金との合併に至らざるを得なかったという点から見ても、勇気を持って告発して、裁判に立ち上がった二人とそれを支えた組合の力は今でも変わらず重大な意義を持っている。二人の行為は武生信金から感謝されこそすれ、こういった形で懲戒解雇の撤回もしないで未だに懲戒の有効性を主張することが、信金の人たちや社会に受け入れられるのだろうか。今後、裁判だけでなく、社会的に大きく訴えていくことが大切」

と述べました。

この二年間に及ぶ裁判は一体何だったのか、もとはと言えば、「北陸政界」に掲載された不正融資の事実を労働組合や職員に隠し続けた経営者と、不正融資を掴んでいながら、何ら動かなかった金融庁の怠慢さえなければ、発生していなかった裁判です。

二人の告発がなければ、武生信金は破綻し、労働者や取引先、信金業界にも信用失墜と大きな損害が待ち受けていたことは間違いない事実です。

金融労連では、この闘いへの支援をさらに大きく広げ、勝利解決に向けて奮闘する決意です。

(田畑)