2018/09/10

私のひとこと サマータイム百害あって一利なし

 2020年東京オリンピックの「猛暑対策」として安倍首相が、全国的に時間を早めるサマータイムの検討を指示したことが議論を呼んでいます。
サマータイムは終戦直後に一度実施されましたが、睡眠不足や長時間労働を蔓延させ国民の批判を浴びて早々と廃止されたものです。そもそもオリンピックの猛暑対策のために、なぜ国民生活全体に大きな影響を及ぼす時刻変更が必要なのか理解できません。

 サマータイムは、コンピューターシステムや交通機関のダイヤ変更に膨大なコストがかかることや残業の増加につながるなど多くの弊害がありますが、とりわけ深刻なのは国民への健康被害です。
日本睡眠学会は、サマータイムという急激な時刻変更が、生活リズムや眠りの質と量に悪影響を与え、病気にかかるリスクを高めるマイナスの側面を列挙し「体にむちうつ結果をもたらす」などと警鐘を鳴らしています。
すでに一部の銀行で実施されたところもありますが、結果は「朝早く来て、夕方は早く帰れない」制度として、労働者から不満が噴出しています。

 サマータイムの歴史が長いヨーロッパでも健康への悪影響が顕在化する中、廃止の声が広がっています。
ロシアでは夏時間への移行の時に健康を害する人が増加したため、7年前に廃止されています。世界の現実はサマータイム導入の危険性を浮き彫りにしています。

 1948年に日本で実施されたサマータイムがわずか4年で廃止されたのは、国民の過労の原因になり能率を低下させ、生活の実情にそぐわない不便な点が多かったためです。
オリンピックの猛暑対策というのなら不利益ばかりのサマータイム導入に熱を上げるのではなく、オリンピック開催時期を涼しいシーズンに変更することに真剣に取り組むべきです。

 サマータイム導入の旗振り役の中心は、財界団体です。第1次安倍政権下の2007年に経団連は、サマータイム導入を積極的に提言し、「骨太方針2007」に「早期実施について検討」することが盛り込まれたこともありました。当時の経団連会長は御手洗富士夫氏で、現在の東京オリンピック組織委員会名誉会長です。同組織委員会の森喜朗元首相や安倍首相らと一緒になって、長年果たせなかったサマータイムをオリンピックにかこつけて実現するのが狙いです。国民を置き去りにしたやり方はやめるべきです。

(T)