2011/01/29
嘱託事務員解雇争議解決報告
全国金融産業労働組合(金融ユニオン)
高梨 光恵
嘱託事務員解雇争議解決報告1
2003年6月からの争議は、昨年末12月28日に和解調印、7年半の闘いを終えることができました。東京争議団をはじめ多くの皆さんのご支援をいただき解決の日をむかえることができました。心より御礼申し上げます。
残念ながら職場復帰にはなりませんでした。しかし会社は謝罪し、一定の和解金を支払い、有期雇用社員に対しても雇用責任を果たすことを約束、多国籍企業・世界的大企業を相手にした闘いとして一定の役割を果たせたのではないかと思っています。
また、この7年半グループ企業全般で一人の解雇者も出さず、契約期間4ヶ月から1年になり、高卒初任給に満たなかった給料も20万を超えるなど、労働条件は改善し、非正規の闘いとして、少なからず役割を果たせたのではないかと思います。
当時、2003年、60歳定年の約束を反古にした会社に対し、闘いをはじめ、あくまでも団体交渉での解決をと話合いを続けましたが、不誠実な会社の対応に、労働委員会に救済申立をしました。解雇の1ヶ月前、朝日新聞がこの争議を一面トップに掲載しましたが、新聞社内では有期雇用契約社員の雇い止めはあたりまえなのに、なぜ記事にするのかの議論があったということを最近知りました。確かに、7年半前は、非正規という言葉もみあたりませんでしたし、有期雇用労働者が闘うということはめずらしいことでした。
労働委員会に申立中に会社は、組合が配布したビラに対し損害賠償裁判をおこしてきました。すべて勝利になりましたが、かたくなな会社は雇い止め有効の主張をくずしませんでした。
2007年、東京海上日動社外勤社員の争議、日産センチュリー証券争議と、金融3争議共同行動を開始。この行動は解決まで42回もの行動を積み重ねることになりました。2009年、10年と全国での行動も、北海道から沖縄まで展開し、また、社長宅やその周辺での宣伝やビラ配布、全国から多くの要請はがきも直接社長宅に届けられました。そして、争議は解決に。
どうしたら解決できるのか。そんな答えはあるはずはないのですが考えずにはいられない日もいくたびかありました。
争議を闘う仲間たち皆の問題ですが、私たちが争議を闘うには、経済的なささえがなければ、運動を続けることも、ひろげることもできません。生活もある・運動もある、やはり、また、非正規として働かなければ闘っていくことができないということなのです。6月にありました全国非正規交流集会の分科会ではこれが大きな問題として話されました。
支える労働組合と経済的ささえのシステムづくりが必要ではないか。このことを強く感じました。全国で70もの非正規の争議がありますが、その解決には個々の闘いがそれぞれ結びつき、共同の闘いをすすめなければと思います。また、解雇の解決に無力といわれる公的機関、労働局などにもつよい働きかけも必要ではないでしょうか。また、なんとしてもメディアの活用も積極的にすべきです。
たしかに、私の争議は解決しました。しかし、非正規の働きかたはまだ何も変わっていません。多くの問題がそのままです。労働行政の大きな変革のために私たちはいったい何をしていけばよいのでしょうか。自分の闘いの成果をどのように生かしていったらよいのでしょうか。
微力ではありますが、また皆さまと行動を共にしながら考えていきたいとおもいます。
長い間ほんとうにありがとうございました。