2020/05/10
コロナ禍で今金融の職場は
九州の某信金では、コロナ感染拡大のもとで、顧客対応を優先するため、4月の定例異動を7月に延期を発表し、新聞にも取り上げられました。
地銀もそこまではやっていませんし、異動により初めて担当する先の条件変更対応などで混乱しているとも聞いています。
さらに、「新型コロナウイルス生活支援ローン」と銘打ちフリーローンを、1%での融資ではなく1%程度金利を下げて販売するという、便乗商法に現場の担当者はあきれています。
- ●店舗の閉鎖と特別休暇の付与、地元支援支店で感染者が生まれている金融機関では数日間、閉鎖になった店舗も生まれています。
得意先にコロナ感染者の発生した担当者には「自宅待機(特別休暇)命令」が1日だけ出され、翌日からは通常出勤。現場での外訪活動は、顧客に訪問する旨をあらかじめ連絡し、了解が得られた場合に限り訪問OKとの指示が出されています。
テレビ会議システムで本部から「翌週から外訪自粛、1店舗1日2名以上自宅待機(特別休暇)とする」との指示が出されている信金もあり、事実上週3日勤務の職員が次々に誕生しています。
また、「地域の飲食店支援のため、5月1日に職員一人あたり5千円支給するので必ず近隣の飲食店にてテイクアウトの弁当等購入に利用する事」の指示も出されて地元支援?している金融機関もあります。 - ●外訪自粛の中で店舗内では悲鳴
自宅待機・交代勤務の実施により、ふだん内勤者がやっている業務を渉外担当者も分担して、慣れない仕事に悲鳴。渉外担当者からは「内勤の人も大変なんだ」との感想も出されています。
営業活動に関しては、あらゆる業界の営業担当も自粛の傾向で、顧客からは拍子抜けするぐらい理解が得られているようです。
民間金融機関による実質無利息融資に関しての顧客からの反応は「いくら無利息でも元本を返せるか」と慎重です。
かえって支店長の方が「とにかくコロナの影響って事で、バンバン、セーフティ4号で行け!4号ならマルホ全額保証、5号だと金融機関の責任負担があるからダメだぞ!」とのハッスルぶり。代位弁済を受ける債権だって、国が負担する利息だって保証料だって、結局は国民の税金ですけど。 - ●不織布マスクの支給と、小学校・幼稚園の休校で出勤できない職員は、無条件で特別休暇取得が可能に。
東北の某金融機関では、本部から職員用に中国製使い捨て不織布マスク一人あたり50枚が支給されました。その後、マスクの中に使用しマスクを長持ちさせるための不織布シート一人あたり500枚の支給がありました。
小学校・幼稚園が休業となった子どもがいる職員は、無条件で特別休暇取得できるようになりました。
日々の自粛で職場外での「飲みにケーション」まで制約され、精神的に落ち込んでいる金融マンも増加しています。
職員から感染者は出ていないところでも、営業(特に集金業務)について、全店舗「自粛」となっています。しかし、現実は定例集金先(売上げ集金先等)を全て「行けません」とは言えず、臨機応変の対応を余儀なくされています。
◆◆ 緊急事態でもノルマ ◆◆
自粛とは言え本部からは「融資相談」には積極的に行うようにと通達が出されています。(他行に融資を取られないようにという意味です)言うまでもなく、現在かなりの融資申込みがあり、渉外係を中心に残業して対応しています。
各種営業数値目標は、現在の事情を考慮して昨季の半分だとしていますが、職場からは「この異常事態でもノルマを言うのか」との声が大半です。その一方で、「毎日の店舗出勤人員を極力5割に」という通達も出されています。
計画的に渉外係も強制で休むことになりました。もちろん、会社からの休日要請なので、年休扱いではなく、在宅勤務(出勤扱い)です。飲食業をはじめ、いろいろな業種のお客さんが資金繰りに苦慮し、相談が増大している中での強制休日なので、困っている企業を助けないと・・という使命感と、「今は自粛もやむを得ない」「自分が訪問することで、もしも感染させたらたらどうしよう・・」という葛藤に苦しみながら、必死で頑張っているといった状況です。
在宅勤務・外出自粛続きは宅飲みで酒量が増えた金融労働者を生んでいます。
(T)