2020/10/17
「副業OK、介護などにも対応」と宣伝するけれど…
みずほ週休3~4日制導入へ 金融ユニオンへも取材依頼
みずほフィナンシャルグループが12月に導入を予定している「週休3~4日制」について、マスコミからも金融ユニオンに取材依頼がありました。10月17日付の東京新聞22面では、「超低金利政策に伴う収入減とコロナ禍による景気低迷で経営状態が悪化している金融機関が、副業を認めて基本給カットなどの経費削減の狙いもあると見られる」として、会社側の言い分の「働き方改革が目的」に疑問符をつけています。紙面では「リストラ候補探しの方法じゃないですか」「給料が減るなら応募しない」と語る、みずほFGの東京・大阪の女性労働者の声を紹介しています。
「週休3~4日制」は、10月6日、オンラインで開かれた金融をテーマにしたシンポジウムで、坂井辰史社長が公表しました。みずほ銀行やみずほ信託銀行などグループの約4万5千人が対象とされています。介護のほか、スキルアップを目的とした勉強、副業をしたい社員を対象に、土日に加えて決まった曜日で週1~2日の休みを認めるというものです。週休3日の場合は基本給が約2割減、4日だと約4割減になります。
週休の拡大は、三井住友FGのSMBC日興証券が今年4月から、介護などが目的で一定の年齢以上の社員に最大4日まで認める制度を導入しています。
三菱UFJ銀行も「従業員が働きやすくなるよう検討していきたい」と言っています。
みずほFGは「あくまで本人の希望に基づき働き方の選択肢を広げるもの」として、経費削減を狙ったわけではないと主張。退職金や年金まで減額するかなど、詳細は検討中としています。
しかし、金融業界の現状を考えると、リストラとのつながりを否定できません。大手銀行5グループの2021年3月期の業績予想は、本業のもうけの合計が1兆5千3百億円と、前期から23.3%減るとされています。
日銀の長引く超低金利政策で利ざやは稼げず、コロナ禍で多くの融資先の経営が悪化しているからです。
地方銀行の2020年3月期決算も上場する78行の約7割の54行が前期比で減益となっています。
今の金融業界は、従来、銀行が担ってきた業務に他の業種が進出しているのが実情です。スマホを使った送金が可能になるなどして「IT企業も銀行の競合相手になろうとしている。競争環境は今までにないくらい激しい」だけに、みずほFGの新制度の目的を経費削減と見る関係者も少なくありません。
現状では副業を奨励されても働く先が十分でなく、その部分で不安が残る一方で、「介護など家庭の事情を抱える人には必要」な制度ともいえます。
希望退職制度では「割増退職金を支払わなければならないし、できる人材から抜けていく」といった企業にとってのマイナス面が多いだけに、みずほのこの制度が一気に広がる可能性があります。
他業種の労働者にとっても決して他人事ではありません。