2021/08/28
金融ユニオン第13回定期全国大会を開催
コロナ禍の拡大・長期化で見えてきた
国民の命も健康も営業も生活も雇用も守れない政治の実態
コロナ禍に便乗した危険な動き、弱者いじめで貧困と格差のさらなる拡大
-コロナ禍で初のリモート併用大会-
8月28日、金融ユニオン第13回定期全国大会が開催され、代議員・役員・オブザーバーが参加し、この1年間の活動を振り返り、新年度の運動方針等を決定しました。
当初、昨年に続いて豊橋市での大会開催を予定していましたが、コロナウイルス感染の爆発的広がりのもとで、金融ユニオンとしては初めての「リモート併用」の大会に切り替えて行われることになったものです。
冒頭、委員長は「今日のコロナ禍での医療の崩壊状態を招いた、命を軽んじるような『自助(自己責任)』を国民に強いる新自由主義の下、小さな政府を目標に掲げ、行政、公務、公共サービスが切り捨てられていった」政治の責任を厳しく批判したうえで「気候変動と同様に、金融機関が大きく変化していく中でも、労働組合は、原点に立ち返り、労働者の生活、いのちと健康をまもるという存在意義を共有し、次の世代へ継続していかなければなりません。私たちは団結して、しっかりと経営と対峙して行きましょう」とあいさつしました。本部から第1号・2号3号議案が提案され、討論に移りました。
【窓口昼休み問題】
討論では「営業店の窓口昼休みで、ようやく昼休みがとれるようになった」(東北代議員)職場の実態が報告され「人員削減の口実にされないように全行のテレビ会議の説明会の際に言質をとった」との成果も披露されました。
一方で「窓口昼休みは同様の動きがあるが、女性は昼休み中も事務処理をして昼食の完全取得にはつながっていない」(北陸代議員)と否定的な側面も報告されました。
東海支部オブザーバーは8月20日付の中日新聞の記事を紹介して、「あおぞら銀行の内部通報者への報復対応を社会的に包囲していくことに活用してほしい」と発言。
※記事内容
「消費者庁は20日、改正公益通報者保護法で義務付けられた企業や行政機関の通報対応体制についての指針を公表した。通報窓口の担当者を明確にすることや、通報者に報復した役員らを懲戒処分にすることなどが柱。改正法は来年6月までに施行される見通しで、事業者側は指針に基づいた体制の整備が求められる」
【組合の日常の組織活動について】
- 「コロナの影響で集まりが悪くなった定例会議をズーム会議に切り替えたにもかかわらず、集まり状況に変化が見られず分会長としての士気が上がって来なかったが、組合員に『交代する人がいないのであれば私がやりましょうか』と声を出してもらって励まされている」(近畿代議員)
- 「OB組合員だけになったので、銀行との団体交渉が困難で、もっぱら地域の労働組合の労働相談や会計などを通じて地域での共同に努めている」 (北海道代議員)
- 「解決した争議を見ているとやはり労働組合の底力を感じた」(近畿代議員)
- 「OB中心の金融ユニオン京都北都信金分会ができて、本体の従組との連携を考えている。これまでパワハラをはね返した実績もあるので、従組・現書記長のパワハラ職場の改善を支援していきたい」(近畿代議員)
【パワハラ問題に関連して】
「在宅勤務を実現して職場でのパワハラが一時的に解決されている」
「京都北都のパワハラ問題では、加害者の管理職層に遠慮なくモノが言えるOB組合員中心の京都北都信金分会からパワハラ被害者の店舗訪問実施も必要ではないか。たたかう組合の姿を見せることが大事だと思う」
「個人的にパワハラ自殺者の裁判支援に2件関与している。亡くなってしまう前に、やれることとして今の意見は大事だ」
「静岡銀行では、いじめについては、OBとして職場に直接訪問して加害者の上司と加害者本人に『パワハラは許されることでなく、問題が起これば責任の追及を組合として行うから、直ちにやめるよう』申し入れをした。その結果、対応が大きく変わった。その後の団体交渉でも銀行人事部が気にしていた。ご本人も喜んでくれていた」 (東海オブザーバー)
- 「組合の皆さんの行動で明らかに変化して、仕事をしやすくなった」(被害者本人)
- 「いじめには、被害者本人が声を上げにくいもの。組合含め、まわりの人が加害者にきっちりモノ言うことが必要」(近畿代議員)
【春闘・人事制度改定問題】
- 「静岡銀行の人事制度改定では全行員をマネージャーと一般職員の二つに分類し、代理職も管理職扱いにされて残業手当不支給になった。現役組合員が少なくて現場の状況は十分把握できていないが、問題はあると考えるのでフォローしていきたい」(東海オブザーバー)
- 「三菱UFJ銀行の春闘要求方式として昨年から従業員組合と銀行の間で臨給と定例給与の年間総支払額を賃金ファンドとして、その総ファンドを春闘時に何%引き上げをするかの要求方式に変えた。従来は定例給与と臨給を別々のものとして最低保障基準を明確にしながら引き上げを要求してきたが、臨給を増やして定例給与を減らして増減ゼロもありうることであり、全体として銀行の引き下げのための恣意的運用がやりやすくなっている。定例給与を引き下げれば、退職金も下がることになり、ユニオンとしてはこの方式に反対している」 (中執)
- 「静岡では、最賃引き上げの取り組みを行って、審議会へ意見書の提出や結果に異議の申し立てを行っている。静岡銀行の内部契約社員は、地域最賃の関係で同一業務ながら支給水準が異なり『同一労働同一賃金』の大原則に違反している」 (東海代議員)
- 「一人の非正規組合員が職場の10人の仲間からアンケートを集めるという取り組みもあった。OB組合員や、コロナで職場でのコミュニケーションがとりづらいとは思うが来春闘ではがんばって取り組もう」 (書記長)
【経営民主化・国民的諸課題に関連して】
- 「8月22日に大阪分会大会での発言で、OB組合員から核兵器禁止条約の関係で融資関係の規制など組合としても取り組むべきではとの意見があった。金融ユニオンとしても検討してもいいのではないか」 (近畿代議員)
- 「静岡銀行の株主総会へ組合が株主であり、毎年参加している。核兵器企業や脱炭素への融資など、総会として行動指針を発表した。この点は、いいこととして総会でも評価の発言をしてきた」(東海オブザーバー)
その他、要求実現の力となる組合員拡大に向けた経験交流とコロナ禍での宣伝手法、ジェンダー平等などについても質問が出されました。
【リモート会議で財政は改善されたけれど・・・】
引き続き決算報告・予算提案を受けて組合財政の収支改善の大きな要因となってきているリモート会議についても議論しました。
- 「ズーム会議は、ふれあいが少なく地協としてあまり積極的ではない」 (北陸代議員)
- 「ズームであっても、委任状出席ではなく実際に大会に参加できて皆さんの顔が見れて仲間であることを実感できた」 (北海道代議員)
- 「ズーム会議は、直接会わないことからなじみにくい。やはり顔を合わせた会議がいい」(近畿代議員)
- 「東海の会議は、ズームに代わりつつある、従来から豊橋の会議が多く、県境を越えての移動に制限があり、支部の会議は短時間のズームに代わってきているが、愛知は、ズーム利用がなく分会としても利用を考えたい」(東海オブザーバー)
リモート会議は、移動時間と交通費の大幅節約ができ、迅速な情報の共有や機関決定が可能です。しかし、個別の話や、会議終了後の『本音の交流』など労働組合本来の腹を割った話し合いが難しい面を持っています。
どちらが良いのか二者択一で考えるのではなく、リモート会議という新しいツールを手に入れたと考えて、収束後も併用していくことが必要なのではないでしょうか。
最後に代議員による議案採決が行われ、全ての議案が満場一致で採択されました。
6月の選挙で選出された新年度の役員の中から、新しい三役が信任投票で選出されました。
大会で選出された新三役は次の通りです。(敬称略)
- 委員長 黒田 清美(再)
- 副委員長 中村 弘光(再)
- 書記長 田畑 俊郎(再)
金融労連定期全国大会でのあおぞら銀行闘争支援決議を確認
あわせて、10月2日に開催される金融労連定期全国大会に、内部告発者に対する報復的懲戒処分と隔離部屋への異動などの人権侵害を続ける「あおぞら銀行」に対するたたかいへの支援決議を要請することと、同大会に金融ユニオンから代議員に加え、オブザーバー3名の参加が報告されました。
【参加者の感想文より】
- ▼特別組合員となって初めての全国大会に参加させて頂きました。体調万全の参加とはいきませんでしたが、リモート参加ということもあり楽な姿勢で参加させていただくことが出来ました。私をご指名してくださった場面もあり、それに返答出来なかったことが心残りですが、いつかまたコロナが収束した際は、対面でお礼を申し上げたい気持ちでした。人と人を繋ぐ場に居られる喜びを深く感謝しております。今後ともよろしくお願い致します。(近畿Nさん)
- ▼今回は初めてのズーム会議での開催で参加者の皆さんの顔を見ながら代議員さんの発言を聞く事が出来ました。ズーム会議での全国大会が成功に終わった事は組合としての大きな進展だと思っています。また今回の大会ではオブザーバーが多かったのもズーム会議が影響したのでしょう。今後、内部留保、昼休み問題、組合員拡大等課題は多くありますが組合員一同団結して頑張りましょう。 (近畿Tさん)
- ▼初めての大会参加でしたが、ズームであっても顔が見えるやり取りは、有用だと思いました。ただ、議題が多く時間が短く感じたため、あと1時間くらい長くして「組織を拡大・強化するためには?」「勤務先にどのような働き掛けができるか?」「労組の存在意義とは?」など、もう少しお話をお聞きしたかったので議論する時間を延長しても良いような気がしました。個人的には、闘わずして何も得られないこと、そのためにいつでも支えてくれる仲間がいること、それを憲法が保障していること、こんなに恵まれた組織は会社人生で他にないと思いますので、労組の強力な権利を行使して、あおぞら銀行の真面目な人達が報われるよう、企業へ圧力をかけていきたいと思います。(あおぞら・Iさん)
- ▼当組合としてはじめてのズーム形式での定期大会お疲れさまでした。事前に本部から資料も郵送していただいていたので、議事進行も問題ありませんでした。各支部での会議にズーム形式が導入されているところもあるとのことで、会議への参加や発言もスムーズでした。私をはじめ、何名かがミュート解除し忘れて無音のまま口をパクパクやっているところはご愛敬でしたね。個人的には発言者以外の仲間の表情や反応が画面に一覧で見られるところはリアル会議より優れているな、と思いました。アクション機能を使っての挙手は発言ペースのコントロールができてよかったと思います。画面に向かって拍手をされている方も多く、画面越しでのコミュニケーションも板についてきている感じです。移動のコスト・労力が不要で感染の心配もないズーム会議、これからも活用していきましょう。(東北Kさん)