2022/02/16
許すな!パワハラ・手数料拡大・広範囲の管理監督者・好き嫌い人事考課
-金融ユニオン第13回中央委員会
2月6日、金融ユニオン第13回中央委員会がリモート会議で開催され、全国から中央委員、本部役員、オブザーバーが参加しました。
委員長はあいさつで「春闘方針論議では、企業の内部留保が500兆円を超えているもとで、労働者が生計費原則を重視してしっかり議論を。エッセンシャルワーカーなどは依然として低賃金であり、女性労働力の低評価の是正を実現する春闘に組合員みんなで一緒に考え、行動しよう」と述べました。
続いて行われた定期大会以降の経過報告では「昨年8月の大会も含めてリモート形式での各種会議が定着してきた。労働組合としては、リモート活用でドラえもんの『どこでもドア』のような新たな武器を獲得した。この気軽に参加できるメリットを利用して、新しい仲間も、遠く離れた全国の仲間も参加できるようになり、新しい活動のスタイルも活用できた、今後も生かしていきたい」との報告がなされました。
40%を超える管理監督者
各支部からの報告では、
「パワハラとも言える好き嫌い人事考課と24%を超える管理監督者の範囲を改善したいと枚方信金の仲間が組合に加入し、リモート会議で全国の加入通告経験者の仲間から激励を受けて組合加入通告をした三井住友銀行の仲間が、その後、団体交渉で人権侵害ともいうべきパワハラの謝罪と是正、企業年金が支給されない中途採用者の不平等の待遇改善等を求めてたたかっている」
(近畿支部)
「静岡銀行では人事制度の変更で管理監督者が40%を超えるところまで増加しているのに、銀行は管理監督者の基準に合致していると回答。組合は静岡労働局へ照会するなどの取り組みを進めている。三菱UFJ銀行の契約社員の臨給は低額のまま。組合要求に対する回答ではなく、総賃金方式の回答に変えてきているため、賃上げと臨給がそれぞれいくらなのか全くわからなくなっている。子会社でのパワハラ問題(繰り返される「死ね!」発言)は、事実調査の再要求中」
(東海支部)
「現役組合員が居なくなったため、北海道銀行とは団交できず。労働相談待ちの姿勢。地協の中心組合が今年3月で解散するが、自分はひとりでも頑張りたいと思うので、応援してほしい」
(北海道支部)
「北陸銀行の団交は、月1回開催しているが、30分と限られていて課題が積み残しとなっている。職場への影響力を拡大するまでには至っていない。私は富山県労連の相談活動等に参加している」
(北陸支部)
生涯組合員としてがんばる
「京都北都信金従組は、今でも第二組合の2倍の多数派組合であり、従組と連携して、我々OBが新入職員の従組加入をサポートしている。『生涯組合員』の気概で頑張る決意だ。OB組合員も従組の確認の下で従組役員や近畿地協役員に就任して活動を進めている」
(京都北都信金分会)
「東北では、現役組合員がコロナ禍の中でも、金融ユニオンなどのリモート会議にできるだけ参加して情報と元気をもらっている。前向きな話し合いができる場としてぜひ続けていきたい」
(東北支部)
各支部・分会からの報告を受けて行われた討論では、
「SNS、ユーチューブのIT、リモート活用等知恵を出すことで組合員の拡大もできるのではないかと思う」
「自分の現状は学童などの会議もオンライン会議になって、家族からは『またオンライン会議か』と言われてオンライン会議への参加も難しい状況にはある。それでも自分には全国からの組合メールなどが届き、励まされてありがたく思っている。職場では、在宅勤務は行わない方針で厳しい時もあったが、コロナ禍の中でも降格や減給はなく済んでいる。なかなか有休が取りにくい状況だったが、看護休暇が2日から5日に拡大されて改善された。会社には他に組合がなく、私が組合加入前は、結婚して子育てに育児休暇も取りにくく退職をしていったが、私以降の結婚女性は子育てをしながら働き続けている。組合に入って、自分では言いにくいことも周りの人が、応援してくれて多くの改善が実現できた。今一番感じていることは、年2回の評価のフィードバックを団交でも取り上げてもらい、私にはきっちりフィードバックが行われ、評価を悪くされることはなくなった。次は昇格をめざして取り組んでいきたい」
(本部直轄)
会社をダメにするパワハラ
午後に行われた春闘方針の提起では、「コロナ禍で大変な時だが、ビリオネア(資産約1140億円以上の富裕層)が26時間毎に新しく1人生まれる一方で、4秒に1人が貧困のためにワクチンも接種されないまま、死に至っているという、資本主義の矛盾と限界が表面化している。22春闘で、貧困と格差拡大の社会のしくみの転換を掲げ、重点課題を次の通り提起する」として
- ①今年4月から全事業所に義務付けられるパワハラ防止を、相談窓口の設置や、研修の実施などの小手先の改善だけでなく、パワハラの犠牲者救済のために組合がどう関与するかを正面から取り組んでいきたい。金融ユニオンとしては、パワハラへの具体的な対応として「ICレコーダーによる録音、同僚の目撃証言、日記へのメモ」などを使ってパワハラの根絶に努める。
- ②ジェンダー平等については要求案にも記載しているが「女子トイレに生理用品の設置」等、身近な所から要求していきたい。
- ③野放しになっている管理監督者の範囲の問題では、残業代が付くか付かないという問題以上に、労働者としての法律の保護がなされないことが重大な問題であり、静岡銀行では、部下をひとりも持たない管理監督者まで生まれている。枚方信金では、部下の休暇の管理・調整を担当する人まで管理監督者、支店長の休暇の代行をする人も管理監督者とするなど範囲が広がり無法地帯と化している。金融ユニオンとして本部役員も参加する官庁交渉なども当該支部の仲間と相談して一緒になって取り組みを進める。同時に近畿財務局要請や中央の金融庁要請でもこの問題を金融職場の実態として金融庁に問うて行きたいと考えている。
- ④「好き嫌い人事評価」の問題は、三井住友銀行、枚方信金等でも問題になっているが、年金も含めた生涯収入の不利益事項として、団交などで、経営側がその煩雑性に音を上げるまで徹底して追及していく。
- ⑤「顧客本位の営業活動」という金融庁の方針を否定するような、ゆうちょ銀行による硬貨入金手数料の不合理さと全面対決する取り組みを進め、労働組合が自らの問題だけを取り組むのではなく、国民共通の課題にも取り組む姿を広く社会に示し、労働組合への信頼を取り戻したい。
職場と生活アンケートでは金融ユニオンの仲間から「100円ショップの常連になってしまった」など、かつてないようなプライドも捨てた金融労働者の実態も浮き彫りになっている。あおぞら銀行はコロナ禍を口実に対面型の団体交渉を拒否している。これはリモートによる団体交渉では労働組合の団結力が発揮できないことを見越した経営側の弱点を自ら示したものであり、我々労働組合がとるべき道を皮肉にも示してくれている。後継者や将来展望が見出せないまま解散、消滅していく組合が少なくない中で、「生涯組合員」を掲げてOBの組合員が奮闘して、仲間を増やしつづける「金融ユニオン」が22春闘でも大いにモノを言おうと提案がなされました。
続いて、浦野弘中央執行委員が、先の金融労連中央委員会に提起した「金融労連中執委への提言」文書をもとに、組織拡大・強化に関する問題提起を次のように行いました。
モノ言う労働者を大切に
「組織問題については、春闘方針でスローガン『モノ言う労働者をめざし』を入れている。職場、社会でモノを言わずに諦める若者が増えているといわれている。これを今年の春闘課題として、組合員が職場でも大いにモノが言える組合活動、組合としてモノ言うにはどうしたらいいかを議論していただきたい。今経営者も先が見えない金融情勢の中で金融ユニオンの組合員が確信をもって、どうモノを言うかの中身の議論が大事であり、春闘方針で提起された課題に取り組もう。午前中の議論で、一人では言えないが組合の中で励ましあってモノを言えるようになった。本部直轄組合員の『組合活動を通して、自分の後から結婚してもやめる人はいなくなった』との発言が物語っているように、このような組合活動を通じて確信になったことをしっかり周りに語り、広げていくことが大切。いま取り組んでいるパワハラの課題など改善を勝ち取り、この取り組みを周りに自信を持って広げていくことで、若い人にも組合の有効性を伝えられて組織拡大にもつながると思う。
そのためには経験ある組合員が、企業を退職しても労働組合に残って活動を支えることも重要だと訴えたい。京都北都信金分会の経験でもOB組合員の活動参加で従業員組合をサポートしていることが報告された。書記長から先ほども報告があったように、金融労連の中で組織の存続・停滞に悩む他組合と新しい仲間を増やして元気な金融ユニオンとの違いは、OB組合員がいつまでも活躍していることだ。この活動はぜひ広げていきたいと思う。
同時に、組織活動を進めるには、どうしてもリーダーが必要であり、ここに参加されている皆さんにその役割を果たしてほしいと率直に訴えたい。組織の活性化を図り春闘を元気に頑張ろう」
硬貨入金手数料で熱い議論
続いて行われた討論では、特に1月から実施された、ゆうちょ銀行ATMにおける硬貨入金手数料問題で熱い討論が行われました。議論を踏まえて「手数料問題の国民との議論を」のアピールを中央執行委員会名で発表しました。
討論を受けた議案採決では、本部から提案された全ての議案が全員一致で採択され、最後に副委員長がまとめと閉会のあいさつを行い終了しました。
拡大を牽引する近畿支部
各支部からの報告でも、組織拡大の牽引的役割を担っている近畿支部の元気さが目立った中央委員会になりました。
この1年間でも、枚方信金(直属分会)、京都北都信金分会、三井住友銀行(大阪分会)で新しい組合員を迎え入れ、22春闘での組合公然化の計画もあります。
原動力は元気なOBと気楽なリモート会議
この原動力のひとつは、時期にかなったリモート会議を「井戸端会議」のような気軽さで開催し、組合加入をためらっている仲間を、東北や東京の先輩組合員らも加わって、自らの体験談、加入後の劇的な変化を披露して激励し合っていることです。
二つ目は、労働相談に対応できる先輩活動家が現役労働者を卒業した後も、金融ユニオンに残って生き生きと活動していることです。
京都北都分会では、従組OBが、新入職員に積極的に声かけして、本年度も新しい仲間を迎え入れています。従組役員からも「OBの人たちが組合員拡大に動いてもらえるのは本当にありがたい」と感謝されています。
支部大会でも組織問題を議論
昨年12月に開かれた金融ユニオン近畿支部の定期大会でも、「殺伐とした職場環境の中で、パワハラ、人事考課などを通じて仲間の心の問題を大切にする組合の運動が進んでいると感じている」「65歳以降も仕事をしないと住宅ローンが残っていて生活できない状況が不安。せめて70歳までは働きたい」「職場の中で不安が広がり、労働組合の登場が待たれている」「貴重な経験を持っているOB組合員が、いかに次世代に継承していけるかどうかが大切だ」「仲間が日常的に集まるような組合事務所にしていこう」等々、組織問題を中心に幅広い課題での意見交換や報告がリアル大会のもとで行われました。
近畿支部の仲間は「65歳で組合を卒業するなんて10年も20年も早いで」「組合卒業したらいっぺんに老けるで」と生涯組合員の決意を披露しあっています。