2023/09/02
利用者の声も組合要求にして実現
-金融ユニオン第15回定期全国大会-
9月2日、金融ユニオン第15回定期全国大会がリモートで開催され、代議員・役員・オブザーバーが参加し、この1年間の活動を振り返り、新年度の運動方針等を決定しました。
黒田委員長は「猛暑、酷暑と言われていますが、連日35度を超える暑さが続いており9月になっても一向に涼しくはなっていません。暑さとは関係のないと思っていた北海道やフェーン現象で東北や北陸でも37~38度を記録しています。度重なる大型台風の発生で集中豪雨のところと、新潟とか関東の方では水不足というような両極端な事態も発生しています。国連事務総長は、地球温暖化ではなく地球沸騰化という言葉を使って待ったなしの現状を訴えています。地球沸騰化を加速させているのは、間違いなくウクライナの戦争です。ロシアによるウクライナの侵略が始まり、もうすでに1年半を過ぎていますけれども、一向に出口の見えない戦いになっています。私たちはそれぞれ何ができるかということを考えるとともに、平和でなければ組合活動は成り立たない。この平和が続くように憲法を守る立場として、組合活動に参加してまいりたいと思っています。8月31日、そごう西武百貨店でストライキが行われました。終日百貨店 を開けないという大英断ですが、その中でも経営の垣根を超えた三越や高島屋、大丸、松坂屋の組合員らがストライキ・デモに参加していた姿に感銘を覚えました。私たちも産別の労働組合として、それぞれの経営の垣根を超えたところの労働組合ということでありますので、金融業界において、私たち金融ユニオンは先進的な闘いをしていると思っています。皆さんの今後の活躍の糧となるような大会にしていきたいと思いますので、ぜひ忌憚のないご意見を寄せていただけたらなと思います。限られた時間ではありますけれども、有意義な大会にしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします」と挨拶しました。
討論では、この1年間、三井住友信託銀行やあおぞら銀行、京都北都信金、外国系銀行などで取り組まれてきた70歳までの雇用延長問題での不明朗な基準や問題点を指摘する意見や、もはや過去の遺物となっている役職定年制・専任行員制などの理由なき「高齢者いじめ」の見直しを求める声も多く出されました。
こういうこともやれるのが労働組合
一方で、身近な職場の要求や利用者の声を組合が採り上げて実現させていくことの大切さを訴える意見が参加者の共感を呼ぶことになったので、紹介します。
- ●東海支部オブザーバー
議案書は難しいという声がありました。組合が小さくなってしまって、静岡も組合員が少なくなって現役の人も少なくなっている中で議案書に書かれてあるような大それたことを、私たちができるのかどうかという話があって、自分たちができることをやるしかないねという感じになりました。静岡銀行では、要求を絞って交渉を行いました。今までたくさんの諸要求を掲げていましたが、結局それをやめて、現場にいない人が団体交渉をやってもなかなかうまくいかないからということで、去年の秋には現役の組合員から出た要求を採り上げて交渉しました。それは、今なんでも自分のスマホとかにいろいろ(業務の)連絡が来る、チャットで来る。それがもう何時来るかわからないから本当にイヤなんだよねって声があったので「就業時間外にそういうことをするのはやめろ」「業務連絡は緊急以外は時間帯をきちんと業務時間内にしろ」という要求を一本だけにしたのですよね。
そうしたらやっぱりそれには銀行もすぐ反応して、その後銀行からきちんと通知が出て、そういうことについては「就業時間内にする」ことが指示されたのですよね。
「これは組合からの指摘を受けて回答したのですか」って聞いたら、「そうです」ってことだったので、やっぱり組合でやってよかったなと思ったんですよね。
もう一つはカード専用ATM、というのを一台作って、そこはカードだけしか使えない。通帳があったりとか、現金も硬貨とかは使えない。処理金もできないというATMなのですけど、それを作ってそこを使う人って本当に少なくて他の機械には長い列になって並んでいるのに、そこの機械だけ空いている。こんな不便な機械はない。これはやめろというのを言って、「お客さんからの苦情もないですか」ということで申し入れて株主総会でも質問したりしたのです。するとそれには銀行も「お客様の意見を聞いて徐々に元に戻します」という回答を団交でしてきたのです。本当に徐々ではありますが、元の機械に戻っています。今そういったちょっとしたことを具体的に言っていくしかないねということで、静岡の状況をご紹介しました。 - ●東海支部代議員
先ほど報告してもらったATMの問題と緊急事態以外にもチャットで呼び出されたり、時間外でも随分こき使われている状態というのは静岡銀行だけではないと思うのですけども、それを団体交渉の中で採り上げていっていることは正しいわけですから、静岡銀行も採り上げざるを得なかったし、また静岡銀行の行員の人たちも痛切に感じていたと思うのですね。だからそこら辺りの問題の採り上げ方って素敵だなと思いました。みんなが一体何を感じて働いているのか、そこらへんを組合の人たちはきっちりつかめるようなアンテナの張り方が必要かな、というのを痛切に感じました。そんなに大きな問題じゃないと言われたけど、すごく大きな問題だと思うんですね。だって、時間外にわけのわからないようなことでいろいろ呼び出されたり、そこでまた時間を取られなければいけない。というのは本当に24時間管理されているのと同じような状況になってしまうので、今三菱UFJ銀行なんかもいろんな面でオンラインでもって勉強しなければいけないような事柄がどんどん増えていて、土日なんてそれをしなければ業務が立ち行かないのではないかと思うような感じで進められています。ある人なんかは朝4時に起きてその勉強をやって、子どもが寝ている間しかできないから4時起きをするっていうのです。
それをやってから出社するっていうか、そういうすごい話を聞きましたけれども、実態がそういう中にあるという意味では、これは本当に労働組合でなければ採り上げることのできない問題だと思います。そういう切実な問題を採り上げることによってやっぱり労働組合って、こういうところなのだろうということが少しでも分かっていただければ組合員の増加につながる一歩になると思うので、そういう形で頑張っていけたらなあと本当に静岡の話を聞いて思いました。ありがとうございました。 - ●近畿支部代議員
大事なことは、組合員OBと現役の役員とのお互いのアドバイスとかがないと、役員としての知識とかが欠如してきて闘いが弱くなってきている。そのためにサポートやアドバイスをする必要があるということで、65歳になって再雇用の定年になってもOBが金融ユニオン京都北都信金分会を結成して、信金内で多数派である従業員組合と定期的に執行委員会、それから勉強会、いろいろ情報交換をしています。
それで、信金OBにアンケートを郵送し、協力してもらった回答をもとに利用者の立場、地域住民の立場からの切実な声を信金経営者に届ける取り組みを行ってきています。今のところ団体交渉は実現に至ってませんが、懇談会ぐらいは信金の将来を真剣に考える立場から経営者も拒否し続けられないと考えています。
いま「新しい戦前」のような危険な政治状況が幅を利かせ、労働組合が抱える課題もかつてなく増大していますが、自分たちの足元を見つめ直して、まわりに困っている仲間や利用者がいたら、その声を一つひとつ労働組合の要求として実現していくことこそ、私たちの進むべき方向であることを教えてくれた大会となりました。
最後に代議員による議案採決が行われ、全ての議案が満場一致で採択されました。
7月に選出された新年度の役員のなかから、新しい三役が信任投票で選出されました。
大会で選出された新三役は次の通りです。
(敬称略)
委員長 黒田 清美(再)副委員長 中村 弘光(再)書記長 田畑 俊郎(再)
参加者の感想文より
新自由主義や極端な個人主義の影響の拡大のもとで組織行動の基本がわからない労働者が現在多いです。でも、困って初めて労働組合に助けをもとめるのも現実です。組合に加入した労働者を育てることに力が必要ですね。
労働者を取り巻く環境がますます厳しくなります。ストライキも増えることになります。これからが正念場です。
(北海道S)
金融ユニオン第15回定期大会に近畿から大会議長として参加しました。
コロナ禍においてズーム会議が定着しました。経費削減のためズーム会議は有効ですが、意思の疎通として顔合わせも大切です。そろそろリアル会議も取り入れましょう。定期大会では個別問題の質疑応答で溢れました。発言者を事前に組織し、実りある討議にしたいと思います。
(近畿A)