2024/04/19
4・19金融中央行動・財務金融共同行動 -三菱UFJ銀行早朝宣伝-
金融ユニオンでは4月19日、金融労連本部の応援も得て、三菱UFJ銀行丸の内本館前での早朝宣伝を行いアンケートハガキ付きビラを配布しました。
「一時金は非正規含め一律支給」「物価高騰に対してベアは4月に遡及して実施を」などと訴えました。配布後には、匿名ながら何枚かのアンケートハガキが届けられています。
「ご指摘はその通り」 金融庁要請
今回の金融庁要請は、金融労連、国公労連、郵政ユニオン、金融ユニオンの仲間などの要請団に、静岡大学の鳥畑教授にも加わっていただき実施されました。
鳥畑先生からは、以下のような指摘がありました。
- ①金融庁が言うところの「顧客本位の業務運営」では、事実上「受託者責任」の意味になっているが、金融機関の幅広いサービスを受ける顧客に対する責任は含まれないのか。
- ②日本の金融機関が違法なオンラインギャンブルに対する姿勢が明確になっていないが、金融庁としてどう考えるのか。
これに対して、金融庁の回答は以下のようにありました。
- ①金融行政方針の「顧客本位の業務運営」は、「受託者責任」に限定されず金融サービスを受ける顧客を含むものである。
- ②各金融機関の判断であって特に方針もなく指導もしていない。違法なものについては警察庁と連携している。今後も適正に判断していく。
これを受けた質疑応答の中で、手数料値上げの根拠となる情報開示がなされていない。コストの根拠も不明なままである。投資信託の手数料収入は顧客本位として開示が進められてきた。次は、手数料に関する説明責任の発揮、情報開示ではないか、と指摘すると、金融庁は「指摘はその通りと思うので、今後検討して行きたい」と回答しました。
違法ギャンブルについては、米国では、法に基づき銀行の決済サービス提供を禁止している。金融庁も違法ギャンブルに対して決済サービスを提供しないように指導すべきではないか。英国のオンラインギャンブル企業の日本向けサイトには、利用できない国の一覧があるが、日本は掲示されていない。日本国内から入金不可能な銀行一覧が掲載されているが、そこに名前がない銀行は利用できることになっている。違法オンラインギャンブルを規制する上で銀行決済サービスの提供停止を徹底する必要があるのではないか。また、国内の公営ギャンブルについては、オンライン比率が急増している。投票指定口座の開設にあたりクレジットサービスの提供がされているが、「借金をしてギャンブル」は依存性が高く、英国ではオンラインギャンブルでクレジットの使用を禁止している。楽天銀行の場合は、口座開設と合わせて楽天競馬にリンクさせ、抽選で賞金を提供しているがやりすぎではないか。この指摘に関して金融庁は「状況を確認する。不適切であれば指導するが、個別には答えられない」と回答するに留まりました。
「検討課題とするかどうか検討する」 全銀協要請
午後からは、全銀協要請に参加しました。
【主な要請】
- ①手形、小切手発行手数料の値上げについて
- ②銀行労働者の男女賃金格差について
- ③70歳までの雇用確保
- ④IR事業への投融資停止
【主な質疑応答】
- ①発行手数料はメガバンクでほぼ同じで以前の5倍になっている。優越的地位の濫用にあたるのではないか。丁寧な説明どころか嫌がらせ的な値上げである。手形発行されなければ使うこともできない、ついて行けない企業もある。値上げしなければ銀行が潰れるとでもいうのか。
- ②男女別賃金、ジェンダー比率は公表しているが、銀行はCSR(企業の社会的責任)を掲げながら、労働者に対してはどうなのか。非正規労働者に対する差別があって当然のような考え方をしているのではないか。
- ③70歳までの雇用は「努力義務」ではあるが、社会全体の流れとして希望者は多く、体力もある人が多い。SDGs、CSRを掲げる中で強く求められていると要請しました。
- ④IR事業への投融資問題も含め、全体を通して鳥畑先生は、全銀協会長就任の挨拶の中で「顧客本位の業務運営」は全銀協活動の「一丁目一番地」としながらも「受託者責任」の事しか触れていない。「顧客本位の業務運営」「行動憲章」をもって、全ての顧客に対して、銀行業界として公共的責任を負っているが、手数料引き上げに対しては説明責任を果たしていない。10年間で配当は倍になったがそれは株主本位であり、顧客を犠牲にしている。金融庁にも要請したが、違法オンラインギャンブルの件は、日本の対応がバラバラで、業界のあるべき姿を定めた「行動憲章」において一定の方向性が求められている。ギャンブル依存症の問題では、オンライン取引について、取引の回数、時間の長さなどアルゴリズムで依存症を検知できる。シンガポールでは、排除、停止のしくみを作っている。
と発言しました。
全銀協は、要請の冒頭に「全銀協には監督権がなく、業界の自主規制団体であり、独禁法上の規制を受け、指導する立場にない」との発言を行い、全体を通しても「指導する立場にない」「議論できない」「組織の性格上、規制できない」との回答に加え、「検討課題とするかどうかを検討する」などと課題解決への本気度が疑われる対応に終始していました。