2024/07/15

動けば響く '24春闘|金融ユニオン

 コロナ禍でのリモート形式での団体交渉などから、徐々に以前のようなリアル対面型の組合活動が増えたこともあって、金融ユニオンの24春闘は、労働組合が「動けば響く」春闘になってきました。

許すな!「4月賃上げ」潰し

金融ユニオンは、春闘方針で「賃上げの実施時期について、妥結の時期が4月以降になる場合であっても、賃金改定は4月に遡って行うこと」という、当たり前であるはずのことを強調しました。

 トップメガバンク三菱UFJ銀行は、近年、多数派の従業員組合との合意を口実に、賃上げ時期を4月に行わず、物価高騰が家計に深刻な打撃を与えているにも関わらず、ついに'24春闘では「9月実施」という、半年近い賃上げ実施の延長回答を行ってきました。

 金融ユニオンは、同行との団体交渉に3名の本部役員も参加して「最高益決算の銀行が、物価高騰で苦しむ労働者への賃上げを4月から実施しないというのは許せない」と厳しく追及しました。

 三菱UFJ銀行は、「賞与を含めると8~9%の引き上げとなる」としていますが、5月に支給された「特別一時金」では正行員15万円、専任行員9万円、嘱託契約社員6万円、フルタイム契約社員3万円、パートタイム契約社員1万5千円など、格差是正どころか逆に格差を広げるものとなりました。

 明治安田オフィスサービス(MYOP)は、正社員賃上げ5千円~7千円、契約(月給制)社員の賃上げ5千円、定時(時給制)社員は23年10月の最低賃金改定時に時給40円引き上げており今回賃上げ無し。退職金制度の創設について「親会社(明治安田生命)のグループ子会社として親会社の方向性を踏まえて検討するが、現時点において退職金制度を導入する予定はない」というものでしたが、臨給のフィードバックは「本人と上司が納得するまで話し合う運用」 を約束しています。

 大阪シティ信金は、賃上げ平均1万6320円(前年1万2037円)、4.38%(前年3.28%)、初任給を2万5千円引き上げ、大卒23万5千円、短大卒21万5千円と、全て前年度の引き上げ額を上回る賃金改定を実施しました。ただ、65歳以降の雇用延長要求については、明確な回答が得られていないため、交渉を継続中です。

 静岡銀行では、定例給与比3%相当額の賃上げ回答が出され、初任給1万円の引き上げに伴う若年層の体系補正を含めると概ね3.4%の賃上げとなりました。しかし、パート時給は40円、再雇用者時給は50円の引き上げなど、正規・非正規格差はさらに広がっています。その他、持株会補助金増額、福利厚生施設の拡充、インフルエンザワクチン費用補助の恒久化(上限5千円)、忘年会・新年会等懇親会費用補助の再開・拡充(上限8千円)など回答がありました。

 しかし、組合が要求し続けている(一部月給制を除く)パート労働者に対する退職金要求への回答がなかったため、組合は納得いく回答を引き出すまで粘り強く交渉していく方針です。

 東京金融取引所では、全社員に4千円のベースアップがなされ、荘内銀行でも、23年度・24年度の合計回答が今期あり、一時金等も含めた合計で5%相当の賃上げとなっています。

65歳以降の雇用実現

 大阪のみどうすじ総行動・財務省金融庁包囲近畿大行動の一環として3月に取り組んだ近畿財務局要請では、65歳以上の雇用確保を要請した2名の損保労働者の雇用延長要求が実現しました。

 この2名の労働者は、職場の仲間から雇用延長を求める署名を仲間から集めたり、再三、支店長や人事に希望を伝えたりしていました。

 今回の近畿財務局要請にも自ら休暇を取って参加し、「近畿財務局の指導にも応じないのなら、東京の金融庁まで要請に行く」と会社に連絡するなど、「自分たちにとって65歳で雇用を打ち切られたら大変なことになる」という、切実さ・真剣さが周りの仲間にもひしひしと伝わってくる行動が雇用確保を実現した、貴重な教訓となりました。

宣伝を通じて「反響」

 三菱UFJ銀行の労働者宛に東京・大阪でビラを配布した結果、複数の労働者からアンケートが返送されるなど特に非正規労働者から新たな反応が生まれています。

 その他、札幌や金沢などでも地協や地方労連の仲間と金融機関労働者への宣伝行動に取り組み、びっしり意見が書かれたハガキが届いています。

引き続き「ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン」の取り組みを広げましょう。


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