2014/02/19

うつ病を増悪させたのは、安全配慮義務違反と認定!
-愛知県中央信組・S裁判-

 2月19日、名古屋地裁・岡崎支部(釼持亮裁判官)は、「うつ病を発症していたSさんの体調を正確に把握し、その症状が悪化することのないよう適正な業務上の配慮すべき義務があった。にもかかわらず、より業務負担の重い刈谷支店融資役席に異動させ、長時間労働をさせるなど、適正な配慮をしたとは認められない」と判示し、さらに、「うつ病増悪時の上司らがSさんの体調不良を知り、うつ病であることを認識できたのに不適切な対応をした結果、うつ病が増悪して長期休業に至った」と認定し、同信組に対し、治療費・長期休職中の賃金・慰謝料など412万円弱の損害賠償を命じました。

 この裁判は、Sさんがうつ病からの復職時に、大卒初任者なみの降格・減給されて賃金が大幅に減額となったため、09年に金融ユニオンに加入し、降格前に遡り差額給与・賞与の支払いを求めて交渉をしてきましたが、信組側は団交を一方的に打ち切り、「これ以上は裁判で決着をつける」として、「支払うべき債務は存在しない」ことの確認を求める訴訟を行ったため、その裁判に対して、反訴した本裁判で、裁判所から明確に同信組の安全配慮義務違反が認められたわけです。

全国の仲間に「控訴せず話し合い解決を」の要請と本店要請行動

 判決後の報告集会には、金融労連田畑書記長や濱口中執、浦野委員長をはじめ、東海地協、金融ユニオン、地域の仲間、愛知で闘っている争議団の仲間など30人余りの支援者が集まり、勝利判決を喜び合いました。

 集会の最後に、浦野委員長から控訴をさせず判決に沿った解決を迫るため、本店への要請行動や、金融労連傘下組合、関係団体へ一斉FAX要請依頼を行い、話し合いによる早期解決を図ろうと挨拶しました。

 2月24日には、濱口中執、浦野委員長、西三河労連の仲間、金融ユニオンOB会など、11名が本店へ要請訪問しました。全員を応接室に入れ、40分以上の要請面談となりました。

 団交にも出席する人事部長は、開口一番迷惑そうに、全国から送られてきているFAXを見せつけて「同じ内容のものが何通も届いて、必要あるのですか」との問いに、浦野委員長は「ここに来た私たちと同様に、多くの人々が話し合いにより早期解決するように求めていることを理解すべきだ」と回答しました。

 会社側は支払うものはない、ゼロだという裁判を起こし、判決は損害賠償を命じたもので、判決は和解的内容でもあることを認識し、控訴をすれば互いに体力も費用も掛かること、控訴すれば私たちもさらに輪を広げ、多くの人たちに訴えていくと伝えました。

 信組側からは、「理事会で対応を決めることになる。皆さんの要請は理事会に十分伝える」との回答を得て、要請行動を終えました。

体調の悪いときは無理せず上司に訴えよう!

 今回の愛知県中央信組・S裁判で、名古屋地裁・岡崎支部の判決文の中に、興味深い一節があります。それは、「医師から休業を勧められていたにもかかわらず、休業することをせず、また、上司に対し、具体的に身体症状を訴え、業務上の配慮を求めるなどの努力が十分でなかったことが認められ、これらの原告の行為がうつ病の憎悪に影響を与えたことは否定し難い」と述べている点です。無理をしたから、病状を悪化させたんだよと警告しているように思えます。

 私たち労働者は、どちらかと言えば真面目で勤勉です。この裁判官の警告に従い、自分たちの大切な体を守るための教訓としたい。

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