2018/07/10

職場だより グレーな販売方法、保険商品-東北支部

『ノルマ全廃へのひとつのハードル』

 昨今、保険・投信・国債とも顧客にとって魅力ある運用実績が上がっていないことは誰の眼にも明らかです。こんな環境で職員にノルマを課せば必ずや、判断力が衰えたり、または人の良いお客様に「押し売り」をすることになり大きな問題に繋がります。昨年来の「カードローン報道」により、投信やカードローン販売に関する経営者からの圧力はかなり沈静化してきました。しかし、ここに及んでも「目標必達の厳命」と「担当役員からの進捗状況確認コール」が継続されている商品があります。信用金庫業界独特の「経営者年金」と「しんきんVISAカード」です。

 「経営者年金」は富国生命が引き受け会社の経営者向け確定個人年金です。信金業界では保険窓販が開始される何十年も前から扱われています。なぜ窓販が始まる前から保険を売ることができたのか?それは「お客様が情報誌を見て自ら加入した形式」を建前としているからです。窓販が開始され「適合性の原則」がうるさく言われるようになってもこの商品は相変わらずの販売方法であり「リスクの説明」も「意向確認」も何の記録もありませんし、第一現場ではそんな説明はほとんどしていません。いや、してはいけないのです。それにも関わらず、加入申込書が折り込まれた情報誌は信金職員が配っていますし、申込書を切り取り、折りたたみ、封書にしてポストに投函しているのはほとんど信金職員です。認識の低い支店長などは「経営者年金の見込先管理表書いたか?」などと言ってきます。

 こんなグレーな保険商品やまったく不要な年会費もかかるクレジットカードをなぜいつまでも売り続けるのか。それは「経営者年金」を取りまとめる「信金経営者協議会」や各地の「株式会社しんきんカード」と信用金庫は根強い「人的交流」があるからです。これがある限り、信金業界のフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営)は不可能です。気の毒ですが、「信金の現場に号令だけかけている関係者」の方々にはその既得権益を放棄していただくことが肝要です。

(K)


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